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免税事業者からの仕入れと経過措置|控除割合の全期間と帳簿の記載要件

免税事業者等からの課税仕入れは経過措置で一定割合を控除できます。令和8年度改正で期限が2年延び70%・50%・30%の3段階になった全期間と、控除限度額1億円、帳簿の記載事項を原典で並べました。

免税事業者などインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れは、経過措置により一定割合を控除できる。令和8年度改正で適用期限が2年延長され、控除可能割合は70%・50%・30%の3段階に分かれた。帳簿には「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を含む記載が要る。

控除可能割合と控除限度額を示しているのは国税庁「令和8年度税制改正特集」で、解釈・推奨は含まない。

控除割合は2年ごとに70%・50%・30%と下がる

期間 控除可能割合 根拠
2019-10-01 〜 2023-09-30(4年間) 全額 区分記載請求書等保存方式
2023-10-01 〜 2026-09-30(3年間) 80% 平28改正法附則52
2026-10-01 〜 2028-09-30(2年間) 70% 令和8年度改正
2028-10-01 〜 2030-09-30(2年間) 50% 令和8年度改正
2030-10-01 〜 2031-09-30(1年間) 30% 令和8年度改正
2031-10-01 〜 控除不可 令和8年度改正

改正前の予定は、令和8年10月から3年間50%、その後は控除不可だった。改正後は2年ごとに70%・50%と下がり、最後に1年間30%が入って令和13年9月30日で終わる。段が1つ増え、終期が2年後ろへ動いた形になる。

区分の起点は「課税仕入れを行った日」である。課税期間の初日ではないので、令和8年10月1日をまたぐ課税期間では、同じ期の中で80%と70%が混在する。控除率の推移そのものは経過措置 2026年10月から70%へにも整理してある。

一の相手方から税込1億円を超えた部分は経過措置の外

令和8年度改正で、金額による上限が入った。一のインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの合計額(税込)が、その年または事業年度で1億円を超える場合、超えた部分の課税仕入れについて経過措置は適用できない。改正前の水準は10億円だった。

限度額(改正後) 1億円(税込・一のインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの合計額)
限度額(改正前) 10億円
判定単位 その年または事業年度
適用開始 令和8年10月1日以後に開始する課税期間から

控除割合の切替は「課税仕入れを行った日」が起点、控除限度額は「課税期間の開始日」が起点である。同じ改正の中で起点が2つあるので、どちらの話をしているかで適用時期が変わる。

インボイス制度開始から経過措置終了までの切替日

2023-10
インボイス制度開始。免税事業者等からの課税仕入れは80%控除の経過措置へ
2026-09
特定金属くず特例が創設され、令和8年9月1日以後に行う課税仕入れについて適用
2026-10
控除可能割合が70%へ。以後に開始する課税期間から控除限度額1億円が適用
2028-10
控除可能割合が50%へ
2029-09
少額特例(税込1万円未満)の適用期限。令和11年9月30日まで
2030-10
控除可能割合が30%へ
2031-10
経過措置が終了し、インボイス発行事業者以外からの課税仕入れは控除不可

帳簿に要るのは相手方・年月日・内容・支払対価の4つ

仕入税額控除の要件となる帳簿への記載事項は、課税仕入れの場合、次の4つである(消費税法第30条)。

イ 課税仕入れの相手方の氏名または名称
ロ 課税仕入れを行った年月日
ハ 課税仕入れに係る資産または役務の内容(軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合は、資産の内容および軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
ニ 課税仕入れに係る支払対価の額(消費税額および地方消費税額に相当する額を含む)

帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入れについて帳簿のみの保存を行う場合は、上記に加えて①帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨と、②仕入れの相手方の住所または所在地の記載が必要となる。ただし一定の課税仕入れについては②の記載は不要とされている。

帳簿のみの保存で控除が認められる取引

請求書等の交付を受けることが困難であると認められる次の取引は、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる。

① 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
② 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除く)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(①に該当するものを除く)
③ 古物営業を営む者の、適格請求書発行事業者でない者からの古物の購入(棚卸資産に該当するものに限る)
④ 質屋を営む者の、適格請求書発行事業者でない者からの質物の取得(棚卸資産に該当するものに限る)
⑤ 宅地建物取引業を営む者の、適格請求書発行事業者でない者からの建物の購入(棚卸資産に該当するものに限る)
⑥ 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源および再生部品の購入(購入者の棚卸資産に該当するものに限る)
⑦ 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機および自動サービス機からの商品の購入等
⑧ 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る)
⑨ 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当および通勤手当)

特定金属くずは古物商特例から外れ、専用の特例へ移った

令和8年度改正で、盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律(金属盗対策法)に規定する特定金属くずについて、古物商特例や再生資源等特例の対象から除いた上で、新たな特例が設けられた。

対象事業者 金属盗対策法上の特定金属くず買受業の届出を行っている事業者
対象取引 適格請求書発行事業者でない者から棚卸資産(消耗品を除く)として買い受ける特定金属くず
効果 一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められる
帳簿の追加記載事項 「特定金属くず特例の対象となる旨」および「課税仕入れの相手方の住所または所在地」
適用開始 令和8年9月1日以後に行う課税仕入れ

金属盗対策法により本人特定事項として住居等の確認を行うこととされていないものについては、「課税仕入れの相手方の住所または所在地」の記載は要しないとされている。

対象になるのは課税事業者、免税事業者は対象外

立場 適用 原典
インボイス発行事業者以外の者から課税仕入れを行う課税事業者 経過措置の対象 令和8年度改正特集
同・一の相手方からの課税仕入れの合計が税込1億円を超える部分 対象外 令和8年度改正特集
基準期間の課税売上高1億円以下または特定期間5,000万円以下の事業者が行う税込1万円未満の課税仕入れ 少額特例の対象(令和11年9月30日まで) 平28改正法附則53の2
免税事業者 対象外(仕入税額控除の適用を受ける立場にない) タックスアンサー No.6496「対象者または対象物」
金属盗対策法の届出をしていない事業者の特定金属くず仕入れ 帳簿のみの保存による控除不可 令和8年度改正特集

帳簿と請求書等は7年間、6年目と7年目は一方でよい

課税仕入れ等の事実を記載した帳簿と請求書等は、帳簿についてはその閉鎖の日、請求書等については受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存することとされている。ただし6年目と7年目については、いずれか一方を保存すればよいこととされている。

少額特例の期限・1億円の判定単位・地金の本人確認書類

Q1少額特例は令和11年9月30日で終わりますか?

国税庁の経過措置の適用期限一覧は、少額特例を令和11年9月30日までとしている。タックスアンサー No.6496 も「令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行った課税仕入れ」と記載している。

Q2控除限度額の1億円は、取引先ごとに判定しますか?

国税庁は「一のインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの合計額(税込み)が、その年又は事業年度で1億円(改正前:10億円)を超える場合には、その超えた部分の課税仕入れについて適用できません」と記載している。

Q3金または白金の地金を仕入れた場合に追加の要件はありますか?

金または白金の地金の課税仕入れを行った場合、その課税仕入れの相手方の本人確認書類(運転免許証の写しなど)を保存しないときは、その課税仕入れに係る消費税について仕入税額控除の適用を受けることができないとされている。

原典対応表

節 原典 確認日
控除可能割合の全期間・控除限度額・特定金属くず特例 国税庁 令和8年度税制改正特集(7・5・3割控除/経過措置の適用期限一覧/その他の改正) 2026-08-25
帳簿および請求書等の保存・帳簿のみの保存が認められる取引・保存期間 国税庁 タックスアンサー No.6496(令和7年4月1日現在法令等)・消法30、消令49〜50、消規15の3〜7 2026-08-25
帳簿の記載事項 国税庁 タックスアンサー No.6497(令和7年4月1日現在法令等) 2026-08-25
登録が失効する日 消費税法第57条の2第10項 2026-08-25

登録そのものを取りやめる場合の効力発生日はインボイス登録の取消しはいつ効力が生じるかに、少額特例の要件は少額特例(1万円未満)の要件と適用期限に整理している。

姉妹サイト けいり(bizkeiri.net)
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帳簿へ「経過措置の適用を受ける旨」を残す設定と、控除割合が切り替わる期に確認する項目を整理しています。

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【記事情報】

・免責事項: 本記事は公開・更新時点の法令・公的資料に基づき、一般的な制度解説として編集しています。個別の税務判断は税務署または税理士へご確認ください。改正法の附則条番号までは扱っていません。

【記事情報】
公開 / 更新
2026-08-25 / 2026-09-03
監修
監修者は置いていない。運営者が原文と照合して掲載
免責
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