この記事でわかること

国外事業者から受ける電気通信利用役務の提供は、事業者向けなら受け手の国内事業者がリバースチャージ方式で申告し、消費者向けなら国外事業者側が申告する。登録国外事業者制度は令和5年9月30日で廃止され、インボイス制度へ移行している。

電子書籍、音楽・動画の配信、インターネット広告、クラウドサービスといった「電気通信利用役務の提供」は、平成27年10月1日以後、役務の提供を受ける者の住所地等が国内であれば、国内・国外のいずれから行われるものも国内取引として消費税の課税対象とされている。

本記事は、国税庁タックスアンサー No.6118 および消費税法の条文に記載されている事実を、区分の順に整理したものである。

内外判定は役務の提供を受ける者の住所地で行う

「電気通信利用役務の提供」とは、電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務をいう。国内取引に該当するかどうかは、役務の提供を受ける者の住所地等が国内にあるかどうかで判定される。国外の事業者が国外から配信するものであっても、受け手が国内であれば国内取引となる。

事業者向けと消費者向けで申告する者が変わる

電気通信利用役務の提供は、「事業者向け電気通信利用役務の提供」と、それ以外(消費者向け電気通信利用役務の提供)に分かれる。事業者向けとは、役務の性質または当該役務の提供に係る取引条件等から、当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいう。

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区分 申告・納税を行う者 受け手側の扱い 根拠
事業者向け 役務の提供を受けた国内事業者 特定課税仕入れとして申告(リバースチャージ方式) 消法4①・5①、No.6118
消費者向け 役務の提供を行う国外事業者 帳簿および適格請求書の保存で仕入税額控除 No.6118

事業者向けはリバースチャージ方式で受け手が申告する

国外事業者から事業者向け電気通信利用役務の提供を受けた国内事業者は、これを「特定課税仕入れ」として、自らが申告・納税を行う。消費税法第4条第1項は、国内において事業者が行った資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く)および特定仕入れに消費税を課すると定めており、特定仕入れとは事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等をいう。特定資産の譲渡等は、事業者向け電気通信利用役務の提供および特定役務の提供と定義されている(消法2①八の二)。

リバースチャージ方式が適用される取引について、仕入先である国外事業者から適格請求書の交付を受けているかどうかは、この申告の要件とされていない。申告を行うのは受け手である国内事業者だからである。

課税売上割合95%以上の課税期間は当分の間なかったものとされる

一般課税で、かつその課税期間における課税売上割合が95%以上である課税期間については、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされる。この場合、特定課税仕入れを申告等に含める必要はない。簡易課税制度を適用する課税期間についても同様に、特定課税仕入れはなかったものとされる。

根拠
国税庁 No.6118(経過措置) ↗
原文を 2026-08-13 に確認

消費者向けは国外事業者が申告し、受け手は適格請求書で控除する

消費者向け電気通信利用役務の提供については、原則どおり、その役務の提供を行う国外事業者が申告・納税を行う。国内事業者がこの対価について仕入税額控除を受ける場合の要件は、インボイス制度に基づく帳簿および適格請求書の保存である。

登録国外事業者制度は廃止されインボイス制度へ移行した

かつて存在した登録国外事業者制度は、令和5年9月30日をもって廃止され、インボイス制度へ移行している。したがって、現行制度において「登録国外事業者」であることを仕入税額控除の要件とする取扱いはない。確認すべきは、取引の相手方が適格請求書発行事業者であるかどうかである。

令和7年4月以降はプラットフォーム課税の対象がある

令和7年4月以降、プラットフォーム課税の対象となる消費者向け電気通信利用役務の提供については、特定プラットフォーム事業者が申告・納税を行うこととされている。対象となる取引では、申告・納税の主体が国外事業者ではなく特定プラットフォーム事業者に移る。

区分ごとの対応関係

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確認する事項 事業者向け 消費者向け プラットフォーム課税の対象 根拠
申告・納税を行う者 国内事業者(受け手) 国外事業者 特定プラットフォーム事業者 No.6118
受け手の申告への計上 特定課税仕入れとして計上 計上しない 計上しない 消法4①
仕入税額控除の要件 リバースチャージによる申告 帳簿および適格請求書の保存 帳簿および適格請求書の保存 No.6118
課税売上割合95%以上 当分の間なかったものとされる No.6118
適用開始 平成27年10月1日 平成27年10月1日 令和7年4月 No.6118

条文上の用語は4つで組み立てられている

この分野の取扱いは、消費税法第2条第1項の定義を順に読むと組み立てが分かる。用語は相互に参照しており、どれか1つだけを読んでも意味が定まらない。

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用語 条文上の定義 根拠
国外事業者 所得税法第2条第1項第5号に規定する非居住者である個人事業者、および法人税法第2条第4号に規定する外国法人 消法2①四の二
電気通信利用役務の提供 資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物の提供その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供。電話・電信その他の通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供は除かれる。他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供も除かれる 消法2①八の三
事業者向け電気通信利用役務の提供 国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、役務の性質または取引条件等から、役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるもの 消法2①八の四
特定役務の提供 資産の譲渡等のうち、国外事業者が行う演劇その他の政令で定める役務の提供。電気通信利用役務の提供に該当するものは除かれる 消法2①八の五
特定資産の譲渡等 事業者向け電気通信利用役務の提供および特定役務の提供 消法2①八の二
根拠
e-Gov 消費税法 第2条第1項(定義) ↗
原文を 2026-08-13 に確認

納税義務者の条文はリバースチャージを名指ししていない

消費税法第5条第1項は、事業者は国内において行った課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く)および特定課税仕入れにつき消費税を納める義務があると定める。特定課税仕入れとは、課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。

「リバースチャージ方式」という語は条文上の用語ではなく、この仕組みを指す呼称として国税庁の資料で用いられている。条文上は、受け手側の特定課税仕入れを納税義務の対象に含めることによって同じ結果を導いている。

なお、事業者向けに該当するかどうかは役務の性質または取引条件等で決まるため、同じ事業者から受ける役務であっても、内容によって事業者向けとそれ以外に分かれることがある。

この記事で扱っていない事項

個別の取引がどの区分に当たるかは、役務の性質および取引条件によって決まる。本記事は国税庁および条文に記載されている区分と取扱いを整理したものであり、個別の取引についての判断は行っていない。

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