インボイス登録の取消しはいつ効力が生じるか|届出書の提出時期と条文
適格請求書発行事業者の登録は「取消しを求める旨の届出書」を出した課税期間の末日の翌日に失効します。翌課税期間の初日から15日前の日を過ぎると1課税期間先へずれる構造を、条文と政令で確認しました。
適格請求書発行事業者の登録は、「登録の取消しを求める旨の届出書」を出した日の属する課税期間の末日の翌日に失効する。ただし提出が翌課税期間の初日から起算して15日前の日を過ぎていた場合は、失効はその1課税期間先へずれる。根拠は消費税法第57条の2第10項第1号および消費税法施行令第70条の5第3項。
変更の内容
| 届出書の提出時期 | 提出があった課税期間 | → | 登録が効力を失う日 |
|---|---|---|---|
| 翌課税期間の初日から起算して15日前の日まで | 当課税期間 | → | 当課税期間の末日の翌日 |
| その日の翌日から当課税期間の末日までの間 | 当課税期間 | → | 翌課税期間の末日の翌日 |
条文の書き方は「その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日(その提出が政令で定める日の翌日から当該課税期間の末日までの間にされた場合には、当該課税期間の翌課税期間の末日の翌日)」となっている。政令で定める日は、消費税法施行令第70条の5第3項が「同号の届出書の提出があつた日の属する課税期間の翌課税期間の初日から起算して十五日前の日」と定める。
登録申請の側にも同じ「15日前」がある。消費税法施行令第70条の2第1項は、登録申請書の提出期限を「課税期間の初日から起算して十五日前の日」と定めている。入口と出口で同じ日数が使われている。
施行日と対象
| 対象 | 適格請求書発行事業者(登録を受けている事業者) |
|---|---|
| 手続 | 「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を納税地を所轄する税務署長へ提出 |
| 効力発生日 | 提出があった日の属する課税期間の末日の翌日(15日前の日を過ぎた提出は翌課税期間の末日の翌日) |
| 事業を廃止した場合 | 事業を廃止した日の翌日(廃止した旨を記載した届出書を提出した場合に限る) |
| 法人が合併で消滅した場合 | 合併により消滅した日(消滅した旨を記載した届出書を提出した場合に限る) |
| 免税事業者に戻れるか | 登録の失効と、課税事業者であるかどうかは別。登録日以後2年を経過する日の属する課税期間の末日までの各課税期間は課税事業者となる(免税事業者が登録を受けた場合) |
税務署長が職権で取り消す場合
本人の届出とは別に、税務署長が登録を取り消すことができる場合が条文に列挙されている。消費税法第57条の2第6項第1号は、特定国外事業者以外の事業者について次の事実を挙げる。
| イ | 1年以上所在不明であること |
|---|---|
| ロ | 事業を廃止したと認められること |
| ハ | 法人が合併により消滅したと認められること |
| ニ | 国税通則法第117条第1項の適用を受ける者が、同条第2項の納税管理人の届出をしていないこと |
| ホ | 消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと |
| ヘ | 虚偽の記載をして申請書を提出し、その申請に基づき登録を受けた者であること |
登録または処分をするときは、書面によりその旨を通知するとされている(同条第7項)。登録が現に有効かどうかは適格請求書発行事業者公表サイトで確認できる。
数値と計算例
届出書の提出期限 = 翌課税期間の初日 − 15日(起算日を含む)
個人事業者の課税期間は暦年なので、翌年1月1日から起算して15日前の日は12月17日にあたる。12月17日までに提出すれば12月31日の翌日、つまり翌年1月1日に登録が失効する。12月18日以降に提出した場合は、失効が翌々年1月1日になる。
3月決算の法人であれば、翌課税期間の初日は4月1日で、起算して15日前の日は3月18日となる。3月18日までなら当期末の翌日である4月1日に失効し、3月19日以降なら翌期末の翌日、つまり翌々年の4月1日になる。
この1日の差で1課税期間ずれる構造なので、期末直前の提出は結果が変わる。なお、うるう年や課税期間短縮の届出をしている場合は日付が変わるため、自分の課税期間の初日から数え直すこと。
根拠法令と原典
| 節 | 原典 | 確認日 |
|---|---|---|
| 登録が効力を失う日 | 消費税法(昭和63年法律第108号)第57条の2第10項 | 2026-08-25 |
| 政令で定める日(15日前) | 消費税法施行令(昭和63年政令第360号)第70条の5第3項 | 2026-08-25 |
| 登録申請書の提出期限 | 消費税法施行令第70条の2第1項 | 2026-08-25 |
| 職権による取消しの事由 | 消費税法第57条の2第6項 | 2026-08-25 |
| 届出書の様式・提出先 | 国税庁 インボイス発行事業者の登録申請手続 | 2026-08-25 |
登録そのものの手続はインボイス発行事業者の登録手続きフローに、届出書・申請書の様式と提出先の対応は様式一覧と提出先の対応表にまとめている。
【記事情報】
L1事実提示
・免責事項: 本記事は公開・更新時点の法令・公的資料に基づき、一般的な制度解説として編集しています。個別の税務判断は税務署または税理士へご確認ください。条文はe-Gov法令検索で2026年8月25日に取得したものです。