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【2026年8月版】雑損控除と災害減免法の要件比較|対象・控除額・適用年

災害で住宅や家財に損害を受けたときの所得税の取扱いには、所得税法72条の雑損控除と災害減免法2条の軽減免除の2つがある。同一の損失について両方を適用することはできない。雑損控除は災害・盗難・横領が原因で、控除しきれない額を3年繰り越せる。災害減免法は災害のみが対象で、損害が時価の2分の1以上・合計所得金額1,000万円以下という要件があり、繰越しの規定を持たない。

根拠となる条文は所得税法72条(e-Gov法令検索)と災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律2条(e-Gov法令検索)にある。解釈・推奨は含まない。個別の当てはめは所轄税務署または税理士に確認いただきたい。

原因・対象資産・所得の上限・損害の程度が別々に定められている

2つの制度は、原因も対象資産も所得の上限も損害の程度も、それぞれ別の条文で定められている。

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項目 雑損控除 災害減免法の軽減免除 根拠
損失の原因 災害、盗難、横領 災害のみ 所法72条1項/災免法2条
対象となる資産 居住者または生計を一にする親族が有する資産(生活に通常必要でない資産・被災事業用資産を除く) 住宅または家財 所法72条1項(62条1項・70条3項を除外)/災免法2条
所得の上限 規定なし 合計所得金額 1,000万円以下 災免法2条
損害の程度 規定なし(金額の要件は控除額の算式で処理する) 損害金額が住宅・家財の価額の10分の5以上 災免令1条
効果の位置 所得控除(総所得金額等から控除) 税額の軽減または免除 所法72条1項/災免法2条
繰越し 3年(特定非常災害は5年) 規定なし 所法71条1項・71条の2
併用 同一の災害による損失について重ねて適用しない 災免法2条括弧書き

併用の可否は災害減免法2条の括弧書きが定めている。同条は適用対象を「当該災害による損失額について同法第七十二条第一項の規定の適用を受けない者に限る」と限定しており、雑損控除を受ける者はそもそも軽減免除の対象者に入らない。逆向きの制限は所得税法72条1項の側に置かれていない。

「損害の程度」の欄で雑損控除が「規定なし」になるのは、条文が損害の割合を入口の要件にしていないためである。金額の大小は次節の算式のなかで処理される。規定が置かれていないこと自体が、この欄の答えになる。

雑損控除は3区分、軽減免除は合計所得金額に応じた3段階の定率

所得税法72条1項は、損失の金額の合計額が各号の金額を超えるときに、その超える部分を控除すると定める。各号の金額は次の3区分である。

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区分 差し引く金額
災害関連支出が5万円以下(支出がない場合を含む) 総所得金額、退職所得金額および山林所得金額の合計額の10分の1
災害関連支出が5万円超 「損失の金額の合計額から災害関連支出のうち5万円を超える部分を控除した金額」と上記10分の1相当額のいずれか低い金額
損失の金額がすべて災害関連支出 5万円と上記10分の1相当額のいずれか低い金額

国税庁 タックスアンサー No.1110 は同じ内容を、(損害金額+災害等関連支出−保険金等の額)−総所得金額等×10% と、(災害関連支出−保険金等の額)−5万円 のいずれか多い方、という2つの算式で示している。条文の3区分と、タックスアンサーの2算式は同じ結果を別の形で書いたものである。保険金等の額はまず損害金額から差し引き、損害金額を超える場合に災害関連支出から差し引く。

災害減免法2条の軽減額は、合計所得金額に応じた3段階の定率である。条文は3段階目を「十分の二・五」と書いており、タックスアンサー No.1902 は同じ割合を「4分の1」と表記している。

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合計所得金額 軽減または免除される所得税の額
500万円以下 その年分の所得税の額の全部
500万円超 750万円以下 所得税の額の10分の5
750万円超 1,000万円以下 所得税の額の10分の2.5

軽減の対象となる所得税の額からは、延滞税・利子税・過少申告加算税・無申告加算税・重加算税の額が除かれる。表の下限側は災害減免法2条本文が「合計所得金額が千万円以下であるもの」と定めていることから、1,000万円を超える者は3段階のいずれにも入らない。

雑損失は3年繰り越せるが、災害減免法の効果はその年分に閉じる

雑損控除で控除しきれなかった金額は雑損失の金額となり、所得税法71条1項により「その年の前年以前三年内の各年」に生じたものを繰り越して控除する。特定非常災害により生じた損失については71条の2が71条を読み替え、5年内とする。繰越しの適用には、損失が生じた年分の確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出していることが要件になる(同条2項)。区分ごとの年数と読み替えの範囲は災害損失の繰越期間は3年、特定非常災害は5年に整理している。

災害減免法には対応する繰越しの規定がない。同法2条は「被害を受けた年分の所得税の額」を軽減し、または免除すると定めており、効果はその年分に閉じている。税額を超える部分が残っても、翌年以後へ持ち越す条文上の根拠は置かれていない。

選択のやり直しについては、国税庁 タックスアンサー No.1902 が、確定申告書で雑損控除を適用していた場合でも、修正申告書または更正の請求書を提出する際に災害減免法による軽減免除へ変更する選択が可能である旨を記載している。同ページはあわせて、軽減免除の適用を受ける確定申告書は期限後申告であっても適用される旨も記載している。

盗難・横領は雑損控除だけ、詐欺・恐喝はどちらにも入らない

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状況 雑損控除 災害減免法 根拠
盗難・横領による損失 対象 対象外 所法72条1項/災免法2条
詐欺・恐喝による損失 対象外 対象外 タックスアンサー No.1110
合計所得金額が1,000万円超 対象 対象外 災免法2条
損害が住宅・家財の価額の10分の5未満 対象 対象外 災免令1条
別荘・書画骨とう等(生活に通常必要でない資産)の損失 対象外(62条1項の対象) 対象外 所法62条1項・72条1項
棚卸資産・事業用固定資産の損失 対象外(被災事業用資産) 対象外 所法70条3項・72条1項

資産の所有者が納税者以外である場合、いずれの制度も生計を一にする配偶者その他の親族で一定の所得以下の者が所有するものを含める。この所得の基準額は改正で動いており、タックスアンサー No.1902 は令和元年分以前38万円以下、令和2年分から令和6年分48万円以下、令和7年12月1日施行で令和7年分から58万円以下と3つの区分を並記している。No.1110 は本文が48万円以下のままで、同じ58万円への改正を注記で示す形になっている(両ページとも「令和7年4月1日現在法令等」)。

見積額500万円以下なら源泉徴収の猶予と還付の両方が使える

災害減免法3条2項・3項は、給与等または公的年金等の支払を受ける者が災害により住宅・家財に甚大な被害を受け、その年分の合計所得金額の見積額が1,000万円以下である場合に、災害のあった日以後に支払を受ける分の源泉徴収を猶予し、または既に徴収された税額を還付できると定める。

猶予や還付の対象になる毎月の源泉徴収税額は、令和8年分の月額表の甲欄であれば告示の算式でも求められる。算式の順序と乙欄の扱いは令和8年分の源泉徴収税額の計算機に整理している。

災免令3条の2は、その具体的な区分を見積額で分けている。500万円以下であれば猶予と還付の両方、500万円超750万円以下であれば猶予のみで、猶予の範囲は災害を受けた日が6月30日以前か7月1日以後かでさらに分かれる。いずれも損害金額が住宅・家財の価額の10分の5以上であることが前提になる。

予定納税については同法3条1項が、7月1日以後に災害を受けた場合の減額承認の申請を、災害のあった日から2月以内に行うことができると定めている。申告そのものの期限が延びる制度は別で、その要件は災害で申告・納付が間に合わないときの国税の期限延長に整理している。窓口へ持参する場合の受付時間は2026年10月からの税務署 総合窓口の受付時間で変わる。

軽減免除は申告書に被害の状況と損害金額を記載して提出する

災害減免法の軽減免除は、災免令2条により、確定申告書・修正申告書または更正の請求書に「その旨、被害の状況及び損害金額」を記載して納税地の所轄税務署長に提出することが要件とされている。雑損控除は、タックスアンサー No.1110 によれば確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付するか提示することとされている。

原典対応表

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本記事の節 原典 確認日
要件の対比表・併用の可否 所得税法72条1項(e-Gov法令検索)、災害減免法2条(e-Gov法令検索) 2026年8月23日
損害の程度10分の5 災害減免法の施行に関する政令1条(e-Gov法令検索) 2026年8月23日
雑損控除の3区分 所得税法72条1項各号(e-Gov法令検索) 2026年8月23日
2つの算式・保険金等の控除順 国税庁 タックスアンサー No.1110 2026年8月23日
軽減の3段階 災害減免法2条各号(e-Gov法令検索)、国税庁 タックスアンサー No.1902 2026年8月23日
繰越3年・特定非常災害5年 所得税法71条1項・71条の2(e-Gov法令検索) 2026年8月23日
詐欺・恐喝の除外 国税庁 タックスアンサー No.1110 2026年8月23日
親族の所得基準額の3時点 国税庁 タックスアンサー No.1902・No.1110 2026年8月23日
源泉徴収の猶予・還付の区分 災害減免法3条2項・3項、同施行令3条の2(e-Gov法令検索) 2026年8月23日
申告書への記載事項 災害減免法の施行に関する政令2条(e-Gov法令検索) 2026年8月23日
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雑損控除を確定申告書に載せるまで
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【記事情報】本記事は税理士等の監修を受けていません。一般的な制度の構造を公的資料に沿って整理したものであり、個別の税務相談に対する回答ではありません。/生成AIを用いて作成し、公開前に原典との対応を人が確認しています。/公開日 2026年8月23日・最終更新 2026年8月23日

【記事情報】
公開 / 更新
2026-08-23 / 2026-09-27
監修
監修者は置いていない。運営者が原文と照合して掲載
免責
公表済みの法令・Q&Aの事実を確認日時点で整理したもの。個別の事案への適用の可否・選択の助言は含まない
AI利用
下書きと表の整形に生成AIを利用。公開前に運営者が原文と照合