この記事でわかること

電子帳簿保存法は電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存という3つの区分からなり、このうち電子取引データ保存のみが所得税・法人税に係る保存義務者全員の義務であり、残る2区分は任意である(電子帳簿保存法第4条・第7条に規定される区分)。

3区分×義務×根拠条文の対応表

国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトは、制度を電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引の3区分に分けて案内している(国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」、確認日: 2026-08-02)。この3区分を、任意か義務か、根拠条文とあわせて整理すると次のとおりになる。

4列 × 0行横スクロール →
区分 任意/義務 根拠条文 対象
電子帳簿等保存 任意 電子帳簿保存法第4条第1項・第2項(優良な電子帳簿は第8条) 自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機で作成する国税関係帳簿書類
スキャナ保存 任意 電子帳簿保存法第4条第3項、同法施行規則第2条 紙で受領・作成した国税関係書類(重要書類・一般書類。棚卸表・貸借対照表・損益計算書等を除く)
電子取引データ保存 義務(所得税・法人税の保存義務者全員) 電子帳簿保存法第7条 取引情報を電磁的方式で授受した電子取引のデータ(EDI取引、メール添付、Webサイトからの取引情報等を含む)

電子帳簿等保存では、訂正・削除の履歴が残るなど「優良な電子帳簿」の要件を満たし、あらかじめ届出書を提出した場合、その帳簿に関連する過少申告があったときに過少申告加算税が5%軽減される(個人事業者はあわせて青色申告特別控除65万円の対象にもなる)(国税庁「電子帳簿保存法の概要」、確認日: 2026-08-02)。電子帳簿保存法:電子取引データの保存要件チェックリストでは電子取引区分の保存要件そのものを扱っており、本記事は3区分を横断した位置づけの整理に焦点を当てている。

電子取引データ保存の義務化と宥恕措置の終了

電子取引の取引情報に係る電磁的記録は、令和6年1月1日以後に行う電子取引から、保存要件に従った電子データでの保存が必要である。令和5年12月31日までに行う電子取引については、電子データを出力した書面を保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えないとする宥恕措置が設けられていたが、この宥恕措置は令和5年12月31日をもって終了している(国税庁「電子取引関係」、確認日: 2026-08-02)。電子取引データの保存要件と電帳法における検索機能の構築手順では、この保存要件のうち検索機能の具体的な構築方法を扱っている。

猶予措置(相当の理由がある場合の取扱い)

電子帳簿保存法施行規則第4条第3項は、宥恕措置の終了後も別途の猶予措置を定めている。条文は次のとおりである。

法第七条に規定する保存義務者が、電子取引を行った場合において、災害その他やむを得ない事情により、同条に規定する財務省令で定めるところに従って当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明したとき、又は納税地等の所轄税務署長が当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認め、かつ、当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録及び当該電磁的記録を出力することにより作成した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示若しくは提出の要求に応じることができるようにしているときは、第一項の規定にかかわらず、当該電磁的記録の保存をすることができる。

(電子帳簿保存法施行規則第4条第3項、e-Gov法令検索、確認日: 2026-08-02)

この猶予措置の対象になった場合でも、取引情報に係る電磁的記録そのものの保存は引き続き必要であり、検索要件やタイムスタンプ要件などの保存要件が免除されるにとどまる。電子帳簿等保存・スキャナ保存には、この猶予措置に相当する規定は設けられていない。

区分×義務×猶予措置の横断表

3列 × 0行横スクロール →
区分 任意/義務 猶予措置・軽減措置の有無
電子帳簿等保存 任意 猶予措置の規定なし。優良な電子帳簿の届出により過少申告加算税5%軽減
スキャナ保存 任意 猶予措置の規定なし
電子取引データ保存 義務 相当の理由があり、電磁的記録および出力書面の提示・提出の求めに応じられる場合は、検索要件等の充足を要しない猶予措置あり(施行規則第4条第3項)

電子取引データを保存するための仕組みづくりは、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件と実務での導入フローで扱うスキャナ保存の要件とあわせて、会計ソフトや経費精算システムの選定に関わる論点でもある。同じ運営者が扱うクラウド会計ソフト比較(bizkeiri)では、freee・マネーフォワード・弥生のクラウド会計ソフトを比較している。3区分をまたいだ制度全体の位置づけは主要な税制改正・会計基準の横断表(インボイス・電帳法等)でも扱っている。

再確認e-Gov 電子帳簿保存法施行規則 第4条(猶予措置の要件) ↗中心的な記述を 2026-08-13 に原文で再確認
姉妹サイト けいり(bizkeiri.net)
当サイトと同一運営者による会計ソフト比較サイトです
区分ごとの対応を製品機能で確認する
電帳法3区分それぞれの対応状況を、製品ごとに一覧にしています。

比較を見る →

免責

本サイトは公的機関が公表した情報の紹介・整理を行うものであり、税務に関する見解・助言・評価は行いません。個別の取引の取扱いについては、所轄税務署または税理士にご確認ください。記載内容は各出典の確認日時点のものです。本サイトの記事は税理士等の有資格者による監修を受けていません。免責事項出典と確認日について